宇宙で使うには信頼性と基本性能が大切 市販品にわずかに手を加えただけでクリア | ひと・話題 | nikkei BPnet 〈日経BPネット〉

「これはE-3がNASA(米航空宇宙局)あるいはJAXAの公式機材になったということではないんですね。JAXAには「きぼう」日本実験棟 有償利用という制度があり、弊社はこの制度を利用して、若田さんに機材をお使い頂いているわけです・・・E-3の場合、主な検査項目は二つでした。一つはオフガス試験。これはカメラをある程度の高温下にさらし、不快なガスが発生しないかどうかを調べるもの・・・もう一つの検査項目は減圧試験です。これは真空中にE-3を置いても動作に支障がないかどうかを調べるもの・・・灼熱の沙漠やキリマンジャロの頂上にも持ち込んでも問題なく動作することは既に確認していたんです。だから、テストそのものについてはさほど心配はしていませんでした。実際、テストは何の問題もなくクリアしました・・・実は宇宙仕様のE-3は、市販品のそれとほとんど同じです。それは見た目だけではなく中身もそう。強いて両者の違いを挙げるならば、宇宙仕様のE-3は内蔵フラッシュを発光しないように改造している程度です。これはNASAからJAXAを通じてのオーダーでした。恐らくはコンデンサー(電気を蓄積・放出する素子)のトラブルを懸念していたのではないかと思います・・・それと同時に「NASAはずいぶんと細かいところまで気を遣っているんだなあ」と感心したことも覚えています。もちろん私も「宇宙に持っていくからには、製品に要求されるレベルも相当に高くなるのだろう」とは想像していましたが、NASAの安全性に対する気配りはその想像をはるかに超えていました・・・NASAから開示を求められた情報の中にはデリケートなものもあり、私はプロジェクトメンバーの力を借りて、相手方の要求を満たす資料を細心の注意を払って作成しました」らしい。